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「ちょーっといいっかなあ、メガネくん」
いつの間にか、無二が女子生徒を庇うように立っている。
「どんな理由があるのか知らんっけどねぇ、女の子に暴力はダメじゃないっかなあ?」
慌てて飛び出した市橋は、闇雲に無二の腕を引っ張った。
「ちょ! 無二!」
彼を叱咤しながら、男のほうを見て、
女のほうへ返し、また男のほうを見て、
無骨な作り笑いで頭を下げる。
制服が軋むほど引きずって、どうにか推移を試みた。
強固に踏ん張る無二を蹴飛ばし、
男のほうへへつらって、
くず折れた女のほうを見、
ばつを悪くして、
また無二を引っ張る。
無二の威勢は衰えるどころか盛っていた。
目の色が変わる。
平坦になっていく。
市橋の喘ぐような訴えは悶絶に変わった。
「聞こえてるっかなあ? 女の子傷つけてなにしてるっかなあ?」
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