2月13日・朝

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「それ、君たちに言う必要があるの?」 と彼は笑った。嘲るようだ。 「言えないことしてたってことっかなあ?」 「討論したくないだけだよ。ゴミを相手にするほど俺は暇じゃないんだ。この後だって予定が詰まってる」 「ゴミって何っかなあ?」  「この女と、君みたいな低俗な人種のことだけど」 悪びれた様子はない。 そればかりか当然の主張だと言うようだ。 市橋の腕を振り払う。 「市橋くん。これは無二、行かせていただきます」  構えてから、かかとを折った上靴を履きなおす。 「どうどう。落ち着け、無二! 頼むから」 そう言ったその顔が腹でも壊したような歪み方をしていたものだから無二の意気は急激にそちらへ向かった。  「え? 市橋くん? 大丈――」 ふわっと無二の足が地表から離れる。 「確保!」 と市橋。 「え?」 と無二。 市橋が無二を担ぎ上げた。 瞬く間に180度の方向転換。 「とりあえず…………失礼しましたァァアっ!!」 「ちょ! 市橋くん? えぇぇええっ!?」
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