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「ハア……ゼィ……ハア……ゼィ……ハア……ゼィ……頼むよ~、頼むよ、無二く~ん」
階段の踊り場で力尽き、
崩れ落ちた市橋が亡霊のように唸った。
無二は心底、面白くなかった。
「なんで逃げるっかなあ?」
市橋が段上に両手足を投げ出してくたばったのを見て、
その腹を踏んでみる。
「やめろし。つーかアレは、ダメ……アレは」
「なんだよ? メガネの側に寄ったぐらいじゃあ、お前の眼鏡の度数は上がらんよ?」
「度数はいいからお前の知能の指数を上げろ、頼むから」
「あーゆー奴にはビシッと言ってあげんのが親切ってもんだし」
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