2月13日・朝

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「その親切の代償、高くつきますよ?」 「まじで? おれ、二十円しか持ってねえよ」 「知らねえよ。つーか、無二、あいつの事、知らねえの?」 「え? 有名人?」  「は? 西高きっての有名人じゃん。通称:皇帝(カイザー)っつたらあいつの事やし」 「ツーショーかいざあ? ププッ。ダサッ」 思わず飛び起きた市橋が無二の口を殴る。 もうその息さえ止めたかった。 「ちょ! 聞いてたらどうすんの!! ほんとに知らんの?」 「ダサイザーなんか知らんし」 「カイザーだし。ほら、生徒会長だった……」 「つまりそれって生徒会長の異名ってこと?」 「お前はバカか。そんだけでそんなアホな異名がつくか! 見た目、ほら、超イケメンだし、なんか頭良いらしいし、運動神経とか良いらしいし、背高いし、なんかモテるらしいし、なんかのモデルし。 噂じゃ暴君らしいし。あの先輩、ほんっとにヤバイんだって言ってたし」 「何それ、中学生の自慢話にありそう……」 「いやマジで。マジでヤバいって俺の友達の兄ちゃんの友達の彼女が言ってたって言ってたし!」
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