2月13日・昼

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【無二は、女子生徒に襲いかかった】 「キャッ! むにくん、もお~。どうしたのー? 急に飛びつくからびっくりしたちゃった」 「ねぇねぇ、はるくん、知らなーい?」  女子の背中に被さったまま、 そのグループのメンツに視線を回す。 「知らなーい♪ それよりお菓子食べるぅ? これ、無二くんがスキって言ってたやつだよね」 「おお! 食べるし!」 「きゃあ♪ 抱きついたらだーめ♪ がっつかなくてもいっぱいあるからぁ」 黄色い声の輪が、徐々に大きくなる。 一様に花や蝶やの扱いである。 「お の れ は、何しとんじゃぁああっ!!」 「であ゙っしゃあ゙っ!!」 市橋の見事なドロップキックが女子の群れから無二を的確に弾きとばした。 きゃあ、と一斉に女生徒は悲鳴を上げ、 次には倒れた無二へこぞって走り寄る。 さらには我先にと抱き上げてまでいる。 「いくら市橋くんでもひどいよ! むにくんが死んじゃったらどうするの!」 「そいつは、たぶんバラバラにしても死なんし!」 女子たちからの非難の視線を一身に浴びつつ、 その胸に埋もれる無二の稚拙で子供じみた有様に市橋の表情は瞬間凍結した。   「何? もう友達やめていい?」
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