2月13日・昼

4/15
前へ
/56ページ
次へ
* * * 天上に広がる空を眺める。 肌を刺す風は心まで空虚にした。 ふたりは揃って手すりにうなだれる。 A二棟。 いつの間にか、その屋上にたどり着いていた。 「収穫は?」 と無二。 「ねぇし、つーか三年なんかもうほとんどいなかったぞ」  「無駄足か……チッ」 「完全に蛇足の奴に言われたかねぇよ、チッって何だよ」 一抹の無言の後、ため息が唱和する。 「どうすんだよ、唯一ちゃんのこと。このままじゃシャレ抜きでバレンタインにムニ味チョコだし」 「……残すなよ」 「そんなもん遺すなよ」
/56ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加