2月12日・深夜

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「ムニぃ~、お願いがあるんだよぅ~」 部屋に押し入るなり女は無二をベッドの隅に追い詰めた。 瞳をはかなげに潤ませ、迫る。 心臓が高鳴る。 「むにぃ~、お願いだよぅ」 警鐘が唸る。 両手を広げ、 胸に飛び込む貧乳を間一髪かわした。 そのままベットから飛び降りる。 肩透かしをくらいぽすんと布団にうずもれた背中から出来るだけ離れた。 ――が、 六畳の面積では逃げようもない。 かといって部屋を出ようものならここで何をされるかわかったものではない。 「ストップ! 寄るなし」 「なんで逃げるっかなあ」  女は振り返ってぷうと頬を膨らせた。 「おれの顔で、それをするなし」 「むう、ゆいいの顔だもん」 二卵性はあまり似ないと聞く。 性別が違うならなおさらだっただろう。 だが、この二人の顔はまるで鏡のようだ。 「おれと同じ顔で、そんな顔をするなし、キモイ!」
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