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「ほんとー? うわあ、ムニ大好きだよぅ」
飛び込むように抱きつく妹に憔悴する。
「だってやるしかないでしょ……死にたくないし、かわいい妹のためだし」
「ねぇ、ねぇ、ムニ。はるくんはどんなチョコが好きっかなあ? ホワイト味かなあ? ストロベリー味かなあ?」
「知ら」
煌めき一閃。
目の端に黒い線が走る。
ギョッとした次には壁にハサミが生えていた。
「ねぇ、知ってっかなあ? 今日は夜から赤い雨が降る予報。局地的に、ムニの部屋だけに」
「何予報っ!?」
「唯一の気分によって予想される報復、略して唯気予報」
「天気予報みたいに言うなし! つうか、予報の報って報復の報なの?!」
にっこりと笑うその顔にますます戦慄した。
へたり込んだ無二へかぶさるように唯一が迫る。
「ねぇ、ムニ。はるくんはどんなチョコが好きっかなあ? ホワイト味かなあ? ストロベリー味かなあ? それともムニ味かなあ?」
「……ムニ味ってなぎゃあああ」
夜のしじまに悲鳴が響いた2月12日。
バレンタインまであと2日。
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