2月13日・朝

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* * * 「はる君ってどちら様よ?」  明るい窓際、後ろの席の冴えない眼鏡男子が、ほぼ呆れ返って言った。 その机にうなだれて教室でたった一人暗い顔をした無二はひたすら真摯な声で答える。 「市橋くん。はる君は、はる君だよ」 「だから誰だよ?」 気のなさげな土偶のような顔が窓に向く。 自分は第三者であると境界線を引くようだった。 「なんかイケメンで学校とか一緒らしいよ? 西高とからしいよ?」 「へー。つーか、とかって何?」 「お前とかも一緒じゃん?」  市橋の肩を掴む。 一瞬間で振り返り、 顔を歪め、 椅子ごと体を遠ざけ、 弾けるように跳び退った。  机を乗り越えて、寄りすがる無二を突っぱねる。 「とか、そこっ?! って何っ? ちょっ!! やめてっ、俺を巻き込まんでやっ」 「市橋く~ん、頼むよ~」 「天使の皮被った魔王の手先にはもう二度とならん! 嫌だ! 絶対!」 「俺を一人で行かせないでよぅ」 「一人で逝けし!」 「市橋く~ん。友達だろ~、唯一のことかわいいだろ~、な~あ~?」 「気持ち悪ぃわ。確かに無二は俺の友人だし、唯一ちゃんは、極上に可愛いし……」 何を思い浮かべたのか市橋の顔がやにさがる。 「ほらほら~、だったらさあ」
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