六浪僻地をゆく

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悪党を三人まとめて縛り上げ、業物であろう刀剣だけ頂戴して、役所に突き出した。 報奨金が雀の涙ほど出た。 騒ぎを大きくしてしまった店には戻れまい。 役人のてこ入れも始まっているはずだ。 今の腐った役人共は、小遣い稼ぎにばかり躍起する。 耳郎が表情に影を落とした。 周儀はおやと思う。 しかし聞くことは憚られた。 それよりも得体の知れない救世主の存在に、興味津津だった。 店にいられなくなった詫びとして、耳郎が自宅に招待すると言った。 「この寒い夜は子供たちには厳しいでしょう。赤子など命に関わります。幸い私の家も近い。どうです、そこで夜を明かされては」 「非常にありがたい申し出なのですが、なにぶん我ら流浪の身。役人に目をつけられるやもしれませぬぞ」 「それを言うなら、ほれ、ここの二人は流浪です」 そう言って巨漢の二人を指した。 二人はがははと大口を開けて笑っている。 周儀は釣られて小さく笑んだ。 耳郎の家宅に、馬もくるめて世話になることにした。 耳郎の人となりを、傍人の巨漢たちの笑顔がよく示していた。 鳥は悪党の首を挙げられなかったことを悔やみ、爪を噛んでいた。  
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