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厩へ向かう。
赤兎はほかの馬と一緒に入れられるのを嫌った。
人は赤兎のことを気高いと言う。
そうではないのだ。
赤兎はひとりになることを望んでいる。
鬣(タテガミ)に触れると、高く嘶く。
首筋に触れると、熱い血潮で、そんなことを訴える。
董卓がどうやってこの馬を手に入れたのか知らない。
ふつうの馬とはちがった。
馬は疾駆することだけに心を砕いている。
赤兎は、駈け抜けるだけを望んでいるのではなかった。
拠り辺を求めている。
呂布には、そう思えた。
あり余る力を発揮するだけでなく、どこかで安らげる場所を欲している。
血潮が、そう語りかけるのだ。
ほかの馬にも、雌馬にも、心を許していないだろう。
厩にひとりで入りたがるのも、そういうことだと呂布は知っている。
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