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あらゆる有機体の活動が停止し、動き続けるのは機械だけとなってしまう。
その中でも男を造りあげた企業の一大事業として始まった《惑星建造計画》の機械は〈組み立てる〉という命令を忠実に守り、稼働し続けた。
その機械は最終目的が設定されておらず、動き続けるそれは暴走となんら変わらないものであった。
終わらない建造は世界を無機質で黒く、冷たく、暗いものへと変貌させた。
彼は時おり幻覚を見ることがあった。
黒を白、白を黒と認識したり、天上に輝くものが吊るされているのが見えたりするなど、発狂した世界に迷い込むのである。
それは、この混沌とした世界から目を背ける一種の拒否反応に思えた。
そうして流離い、彷徨い続けたある日、彼は前出の大昔に使用されていた記録媒体に出会い、種々な機能の復活とともに精神の異常から立ち上がり(記憶は戻らなかった)、残されていた伝言を信じ、座標の示す場所へ、混沌を断ち切るべく歩きだしたのだ。
鍵という名の《光――己を導く希望》を携え、そして、誰かの光になることを目指して。
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