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光蟲
「アシュリー。キョロキョロしちゃってどうしたの?」
キッチンの奥で何かを探しているアイルーに若い人間の女の子が声をかけた。
「ニャニャ!旦那さん!なんでもないニャ!」
焦る様子でアシュリーと呼ばれたアイルーは答えた。
そして旦那さんと呼ばれたアイルーの雇い主は、大剣とボウガンを使いこなす女ハンター。
名前をクレアという。
もちろんクレアはアシュリーの怪しい様子を見逃しはしない。
アシュリーをじっと睨んだまま無言のクレア。
そこから動くことの出来ないアシュリーは唾を飲み込む音まで大きく聞こえてくる。
クレアの迫力に負けたアシュリーは、ゆっくりと口を開いて言った。
「旦那~。ごめんなのニャ。この間もらった光蟲がいなくなったニャ。大事にしてたつもりなのニャ。たぶん旦那さんの食事には入ってないから安心するのニャ!」
身振り手振り取り繕うアシュリー。
クレアはアシュリーの頭に軽く手を置いて優しく笑った。
「じゃあ、今日は光蟲を採ってくるね。」
クレアは他のアイルーにも手を振ってキッチンを後にした。
アシュリーは見えなくなるまでクレアの後ろ姿を見つめていた。
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