第1話

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 私にとって、自信を持って「友達」と呼べるのは、華音だけだ。  別にクラスメートと仲が悪いわけではないし、イジメを受けているわけでもない。  ただ私が一方的に、他人と関わるのを拒否しているだけ。  私は幼い頃-あまり覚えてないけど、多分小学一年生ぐらいの時-両親から虐待を受けていた。お父さんの会社が倒産し、家が経済的にかなり厳しい状況になり、だんだん、両親の口喧嘩が絶えなくなっていった。そのストレスを、私に向け始めたのがキッカケだ。  と言っても、当時まだ幼かった私には、世の中の事など分かるわけもなく、その時の状況など半分も理解できてなくて、私を引き取ってくれた伯父さんに後から聞いた話しだけど。  お父さんもお母さんも、鬼の様な形相で私を殴った。当時の事は少ししか覚えてないけど、理不尽な暴力の痛みと、「両親に裏切られた」という想いだけは、今まで1度たりとも忘れたことはなかった。今だに消えない傷跡だって、体中にいくつもある。忘れろという方が、無理な話しだ。 ―子供の1番近くに居て、1番信頼できるはずの人に裏切られた…    その想いからか、私は心から人を信用できない。
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