揺れる灯火

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 ヴァジュラは唸り声と共に落雷を起こす。しかしそれを呼んでいた男はバックステップで再び距離を取ってかわしていた。すごい。まるで、行動パターンを暗記しているかのように鮮やかにヴァジュラの攻撃をかわし、斬り込む。見事なヒット&ウェイだ。先程までは、いつ死ぬかわからない恐怖と隣合わせだったのに今では、彼の華麗な動きに見入っていた。 「もうグロッキーか?」 ついにヴァジュラは体制を崩し、それを逃さず攻撃をしかける。しかし、ヴァジュラは落雷を落とす事により彼を引き離す。続けて何度も落雷を落とし、彼を近付けないようにして、翼を羽ばたかせて紅に染まる空へと飛び立った。 「やっぱりサクヤを連れて来るべきだったか」 ヴァジュラを追うのを不可能と判断したのか、男は再び神機を肩に乗せて、僕の下に歩み寄って来る。 「自己紹介とかしたいが、取りあえずアナグラに戻ってからでいいか?」 確かに、ここは危ない。僕は頷いた。 「…彼女は、お前の知り合いか?」 食い荒らされ、直視できないほどの姿になり果てた彼女をチラッと見て言った。
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