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音。耳を塞いでも、消えない音。脳が認識し、記憶した音“それ”は寝ても覚めても消える事はなかった。
「止めろ…」
目の前で、大切な人が喰されていく。翼が生えたヴァジュラが、頭から離れない音を立てながら、捕食する。瓦礫の影に身を潜めていた僕は吐き気を必死にこらえながらも、息を殺していた。しかし、僕の精神は物凄い脆いらしく、耐えきれずに嘔吐してしまう。
案の定、それで気付かれたらしく、翼の生えたヴァジュラは食事を止めて、こちらを視中に捉えた。ジワジワとこちらに歩いて来るヴァジュラ。もう死んだと思った。
「もう大丈夫だ、坊主」
僕の頭をポンと叩き、大きな神機を肩に乗せたゴッドイーターの男の人が背後から歩いて来た。ヴァジュラはそちらへと標的を変えたらしく、雄叫びと共に加速した。
「おっと」
彼はステップしてヴァジュラの突進をかわす。急ブレーキをかけたヴァジュラは振り返って、今度は高電圧の球体を生み出し、彼の方へと飛ばした。彼はそれすらも軽々とステップで避けるとヴァジュラの方へと一気に駆け出した。
「おらッ!!」
ヴァジュラの頭に見事、チェーンソーのような形をした神機をヒットさせる。鈍い音と共に血飛沫が上がった。
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