物語は突然に

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――授業終了を知らせるチャイムが学校に鳴り響く 学校が終わり、多くの生徒が去っていく校庭の風景はどこか寂しげに見える。 本来自分もその中に混じっているはずだったのだけれども、どういうわけか今日は学校の屋上などと言う本来自分には何の縁も無い所にいた。 「……やっぱ嘘みたいだよなぁ」 そう呟く彼の手には一枚の手紙。 登校してきた際に自分の下駄箱から出てきた、まあ多分らぶれたーとか言うものではないだろうか。 中身はただの一文 ――放課後屋上に来てください 名前も記入されていないので疑うのも無理は無いと思うが、 そこはやっぱり男なので、疑わしくとも期待してしまうというかなんと言うか。 ふぅ、とため息をつく。 気がつくと、屋上に来てから既に一時間以上経ってしまっていた。 これ以上ここにいて教師にでも見つかったら厄介だ。 「――やっぱいたずらだったのかな」 落胆はあったが特にそれほど期待もしていなかったから、すなおに諦められた。 さて、もう帰ろうかと振り返りかけたそのとき。
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