1.ルーク

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はっきり言えば自民党にとっても苦肉の策だったといえるだろう。『仲の悪い政党を黙らせるために盗みを働いた。』などということが世間に知れ渡ればそれこそ自民党は終わりだろう。 しかし自民党はどうしても今バートンを抑えておく必要があった。来月にブレッダ氏達が立案する予定の法案は自民党の将来を左右する重要な物らしい。と同時に、それは国民党が好ましく思わない物でもある。是が非でもこの法案を通したい自民党なので不安要素は出来る限り除去していきたいらしい。 「……そこまで詳しく依頼者側の素性を明かして良いのか?」 俺達の仕事は盗む事。依頼者側の事情を詮索する事は先に述べた暗黙のルールでタブーになっている。少し不自然に思ったので聞いてみた。 「ん?ああ。色々あって直接渡すことになっているからな、証拠。」 この時、俺は「そりゃそうだろう。」と思っていた。情報屋が渡さなかったら誰が渡しに行くんだよとツッコミたかった。 「そうじゃなくて、俺に教えちまって良かったのか?って話だよ。」 後で面倒になるのはゴメンなので一応確認をとっておく。て言うか第一俺は依頼内容を聞いただけでまだやるとは言っていない。この情報屋は少し頭が悪いんじゃないのか?まぁ受けるつもりではいるが。 「……?何を言って…ってああ!そうか!!俺を情報屋と勘違いしてたんだな?悪い悪い、俺はアンタの同業者だよ。」 笑いながらそう言ってきたルークを前に、一瞬固まってしまう俺だった。
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