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「素材はプラチナかしら?珍しいデザインね…それと裏側の文字も気になるわ…」
指輪の分析を始めるブレッダ氏。大抵の収集家は収集物の知識も富んでいるものだ。中には専門家並みの知識を持つものもいる。見たところブレッダ氏もそういった1人のようだ。
「興味深いわ。シンプルで洗練されたデザインはまさに芸術……」
「すみません、それで何か分かった事は?」
「あら、ごめんなさい。そうね…やはりこれはフランス製じゃないかしら?」
ブレッダ氏いわく似たようなデザインが1920代フランスの指輪に多いらしい。しかし裏側に刻まれた言語までは分からないとのことだった。
「そうですか。分かりました、ありがとうございます。」
ルークは指輪を受け取りポケットに戻す。挨拶をしながら立ち上がると一礼する。俺とE-1も遅れて立ち上がって頭を下げた。そして俺達3人はその場を後にした。
「なぁ、ルークのあの指輪って何なんだ?」
興味が湧いたのでアジトに帰ってからE-1に聞いてみた。
「なんでも生き別れた親御さんの手がかりだそうだ。」
E-1は眠そうにあくびをしながら答えた。なるほどな。それで指輪を調べてもらう為にブレッダ氏に直接渡しに行った訳か。
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