序:別れ

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まだ少し肌寒い初春。友達のヴァンは僕…ルークの隣でふてくされていた。時刻は丁度正午を回った頃だ。 「あ~っくそ!なんでだよ!?」 2人で川辺の土手に座っていると隣からそんな声が聞こえた。これを聞いたのは今日何回目だろう…。見るとヴァンが頭をかきむしりながら後ろに倒れる所だった。 何故こいつがこんな状態かと言うと時は遡ること数時間前の事だ。ハートフィア孤児院の院長ティモン先生は僕やヴァン…他の子供達全員を集めた。 みんなが集まり、「何だろう?」とみんなで首を傾げ、ざわめいていると院長先生がレーナを自分の元に呼んだ。レーナとヴァンは僕の一番の友達。何をするにしてもいつも一緒だった。 レーナが自分の元に来ると院長先生はみんなに静かにするよう言う。そしてみんなにこう告げた。 「え~皆さん、レーナちゃんは明日、この孤児院を出る事になりました。」 一度は静かになったみんなが再びざわめき始める。僕とヴァンが凄く驚いたのは言うまでもない。なんでも有名な企業の社長の養子になるらしい。 一通り話が終わるとみんなはレーナの回りに集まり祝福や励ましの言葉を掛け合った。…ただ1人を除いて。
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