1.ルーク

17/21
前へ
/90ページ
次へ
S-1は一瞬判断が遅れた。ナイフなどさっさと手放し、その場を離れれば良かったのだ。それが一瞬遅れたS-1は大男の渾身の鉄拳を右肩に食らい、後方に吹き飛ばされた。 バキッという固いものが砕ける音と共にデスクに叩きつけられたS-1。なんとか立ち上がったものの、フラフラしていて今にも倒れそうだ。オマケに右腕が力なく垂れている。折れた、あるいは脱臼したのかもしれない。 ルークに目をやると必死に何かを考えている。この窮地を脱する算段だろうか。 E-1は驚きのあまり腰を抜かし、声もあげられないほど震えている。 俺は咄嗟にパソコンを開いた。大男に狙われる可能性があったがこのままでは警察がここへやってくる。そうなれば俺達は本当に終わりだ。 俺がパソコンのキーワードを叩くこと数秒後、大男が俺に突進してきた。だがギリギリ入力完了だ。俺はパソコンのENTERキーを押し、直ぐ様その場を離れる。 その直後、パソコンがくだけ散る音と警報が辺りに響き渡った。その瞬間、大男は何が起こったのか分からず狼狽える。つまり隙が生まれる。我らがS-1はその隙を見逃さなかった。 素早く大男に詰め寄ると大男のこめかみにハイキックをお見舞いする。続けざまに数発回し蹴りを繰り出し、最後に回転力を生かしたアッパーが顎を撃ち抜く。流石に大男はKO、重い体を床に倒し、白目を剥いて気絶した。
/90ページ

最初のコメントを投稿しよう!

10人が本棚に入れています
本棚に追加