序:別れ

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2人で暫く言い合いをしていると足音が近づいてきた。僕とヴァンが振り返るとそこにはレーナの姿が。 「2人共、ここにいたんだ。」 笑顔を見せながらこちらに歩いてくる。そして僕とヴァンの間に入り込みちょこんて腰をおろす。 「……いきなりでごめんね。」 不意にレーナが呟いた。恐らく養子の事だろう。レーナは少し寂しそうに続けた。 「今日の朝にね、急に決まったの。……私がレニダスさんの所に行けば孤児院にお金が入るんだって。」 淡々と話を続けるレーナ。ちなみにレニダスさんとはレーナが養子に行く家の主人だ。先にも述べたが有名企業の社長……所謂セレブである。 「少しビックリしたよ。孤児院を出ても僕らを忘れないでね?」 「当たり前じゃない!」 僕が少しふざけて言うとレーナは即答した。少し嬉しかった。 一方ヴァンはというと一向に口を開こうとしない。黙り込んだまま川の流ればかり見ている。見ていると口元がモゴモゴしているように見えた。何か言いたいようだが上手く言葉にできないようだ。 「それじゃあ、私荷物の整理あるから……」 こうして、レーナはヴァンが一言も話さない内に孤児院へ帰っていってしまった。
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