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次の日、まだ早朝だというのに孤児院の玄関にはみんなが集まっていた。しかしレーナは浮かない顔でいる。ピンクのワンピースを着たレーナは少ない私物やらみんなからのプレゼントやらを入れたトランクケースを両手で持ち、みんなと最後の言葉を交わす。
すぐに時間は来てしまった。レーナは迎えに来た黒い車に乗り込み窓を少し開ける。ここでもレーナはみんなからの言葉をうけるのだった。
レーナ隣に座っているレニダスさんが「そろそろ行くよ」とレーナき告げる。みんなは院長先生に下がるよう言われて車から1歩下がった。
その時、1人車に近づく男の子がいた。ヴァンだ。ヴァンは驚いた顔でいるレーナの耳元に顔を寄せる。
「元気でな。」
「……うん。そっちこそ。」
たったこれだけのやり取りだった。しかしレーナの顔は先程までとは違い、嬉しそうに笑っていた。ヴァンが車から離れるとレーナを乗せた車は孤児院を後にした。
その日の夕方、僕とヴァンは夕食の買い出しに行っていた。買い物を済ませた帰り道、僕らの話題はレーナの事だった。
「アイツ元気かなぁ。」
「今朝別れたばっかでしょ。違う町に行ったとは言ってもいつか必ずまた会えるよ。」
そんな話をしながら歩いていると気がつけば孤児院の近くまで帰ってきていた。
ドン!!
突如、爆発音が辺りに響いた。
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