1.ルーク

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あれは確か2年前の夏の事だ。ロンドンにいた俺は何かウマイ仕事は無いかと情報屋に話を聞いていた。 カフェで話を聞くこと20分(と言っても怪盗言語という暗号で話しているので一般人には自作の詞を朗読しあっているようにしか見えない)……どうやらこのあたりに大した依頼は無いらしい。 補足だがある程度デカイ仕事は殆どが誰かからの依頼だ。そうじゃないと盗みがかなり危険になってくる。自分だけじゃ正確な情報が入らなかったりするからな。 更に盗み出せても換金のルートが無い。金になら無いんじゃどんなお宝もゴミ同然だ。まぁ中にはコレクションに興味がある奴もいるがな。 「なんだよ…ろくな依頼ありゃしねー。」 俺は舌打ちしながらテーブルの上に置かれたコップを手に取る。中にはかなり溶けた氷と少しだけ残っている。俺はそれをがぶ飲みし、コップをテーブルにドンと置いた。 「つい先日までは良い依頼があったんですがね。ある方に売ってしまったんですよ。」 情報屋の男がそう良いながら紅茶を口にする。それを聞いて俺は更に舌打ちをした。 と言うのも俺達泥棒には暗黙のルールがある。その中に『決して同業者の依頼を奪ってはいけない』というのがあるからだ。もう少し早ければ俺の仕事だったのに……そう考えると尚更イライラする。 依頼が無いなら別な地にでも行こうか……そんなことを考えていた時だった…。
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