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「あなた、大丈夫?」
その女の子が聞いてくる。
「あ、はい。何とか大丈夫です」
ゆっくり立ち上がりながら言葉を返す。
その女の子の外見は普通で、大きい赤のリボンと見慣れない服装。おそらく、ここの巫女装束なのだろう。
とりあえず、
「ここはどこですか?」
聞きたかったことを私は聞いた。
「ここは、幻想郷。人々から忘れられた楽園、とでも言うべきかしら。」
楽園…?
「勘違いしないでもらいたいのは、ここには人間もいるけれど、人外のものも住んでいる、ということ。」
人外とか、訳が分からない
(…この外来人の子はどういった経緯であの「八雲紫」に連れてこられたのかしら)
彼女、博麗霊夢は考察していた。
「あの、つまり、この世界からは、出れないんですか?」
「出れるわよ?この神社の東側の鳥居から。最近はめっきり使われないけどね。」
「そんな簡単に…」
「でも、アイツがあなたを連れてきたのは理由があるはずだから、帰すわけにはいかないわ。」
そうなのか…。
「まぁ、帰りたいわけじゃないんです。ただ、このまま帰れないのと、帰れる可能性があるかどうかで私の目標は変わりますので。それでは、教えてくれてありがとう。失礼します。」
私は軽くお辞儀をして、その場を立ち去った。
………
「どういうつもりなの?紫。」
『あら、気付いてたの。霊夢』
霊夢の横の空間に裂け目が生じ、そこから一人の女性が現れた。
「まったく、どういうつもりなのよ。あんなただの人間なんかを連れてきて」
霊夢は話しながら先ほどの500円玉を回収している。
『あなたにはただの人間にしか見えなかったかしら?』
『彼は―――』
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