9月8日

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9月なのに今年は残暑が厳しい。 教室を見渡せばパタパタと下敷きをうちわ代わりに仰ぐ男子が数人。 ちらり、と隣を見れば欠席した机を挟んで通路の向こうの席の笠間駿が真剣な顔で黒板を見つめている。 ふわっふわのくせっ毛をぼーっと意味もなく見る。笠間駿の視線がノートに動くとふわっ、黒板に動くとふわっ 触ってみたいなー 頬杖をついて思った。 「おーし、じゃ問12解いてみよう。」 先生の声ではっとした。 問題を解くふりをしてまた、ちらりと横を見る。 やっぱりね 案の定、笠間駿の机に先生が来た。 怪しいと睨んでここ2・3日観察しておいた甲斐があった。 「先生ぇー ここよく分からなかったんですけど」 「んー、どれどれ」 笠間駿の座る椅子に片手、机にもう片手をおいて覆うように覗き込む篠原先生。 「ここはこれを代入して.....」 丁寧な説明が静かな教室に響く。 みんなは問題を解くのに集中して先生の声に耳を傾けていないようで 二人が異様にくっついているのに誰も気付いていない。 うはーー!! 近いっ 近いですよ奥さん!! むふふと三浦くんだけがにやけていた。 .
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