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見てはいけないところを見てしまった。
尾崎慎吾は、わがままな恋人のためにサッカーソックスを取りに数学教官室の前を通った。
本当に、
なにげなく中を見ただけなのだ。
篠原先生が笠間駿を後ろから抱きしめていた。
しかも篠原先生と目が合ってしまった。
とりあえず、
サッカー部仕込みのダッシュで逃げてソックスを恋人、桐谷怜司のもとに持っていく。
グランドには
桐谷が待っていて
「遅いよ!」
と怒られた。
いや、そんなに時間かからなかったんだが
思っても口にすると更に怒られるのでごめん、と謝る。
どこかそわそわとする尾崎に気付いた桐谷はどうしたの?、と聞いた。
しばらく口を堅くして言うか言わないか迷った尾崎だが、桐谷のおでこにしわができたので慌てて話した。
そのグランドから、校舎の一角にキラッと輝く点が見える。
「なるほどね」
双眼鏡を目から離してパラパラとマル秘帳をめくる三浦くん。
この輝く物は、双眼鏡のレンズだった。
だが、遠い校舎の窓から三浦くんが観察していたことに気付く者は誰もいなかった。
そしてあるページで手の動きを止めた。
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