序章

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『……困りましたね。このままでは――が遅刻してしまいます』 そんな僕に対し、布団の外の世界の住人たる母親(?)は暫く布団を揺さぶった後、やがて諦めたかの様に…………んん? そういえば僕の母親は僕に敬語なんて使っただろうか? 寝起きでボーっとしていた脳味噌が徐々に覚醒していくにつれて、脳の中で警鐘の様な音がする錯覚が始まる。 果たして、僕の母親は布団に入る様にチラッと見えた様な鴉の濡羽色の綺麗な髪をしていただろうか? 眼鏡をかけていただろうか? 徐々に強くなる警鐘は眠気を押しのける。やがて僕が警鐘に従い布団を少し釣り下げて、布団の外の世界を覗くと――――
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