10年前

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『警告。警告。シンクロ率低下。臨界点を越えました。研究員は至急退避。研究員は至急退避。』 けたたましいサイレンが研究所内に鳴り響く。 所内の至る所にある、赤い光が回転している。 「湊(ミナト)ッ!何してるっ!早く逃げるんだ!」 「嫌よ!このデータは無駄に出来ない!彼方(カナタ)は逃げて!私はデータを回収したらすぐ逃げるから…」 湊は彼方の制止を振り切り、目の前の画面に食らいつく。 そんな湊を見遣り、一瞬迷った彼方は、隣の画面に食いついた。 「彼方!?」 「手伝う。さっさと回収して二人で逃げよう。そして二人で迎えに行くんだ。大河が待ってる。」 「…!…そうね!」 二人は微笑み、目の前の作業に没頭した。 だがその間にも、警告音が鳴り響く。 『強制解除エラー。強制解除エラー。アクセスに制限がかかっています。』 「駄目だ…非常事態でデータ保存がきかない…」 「…だったら、外に送るしかないわね。」 湊がタタンとキーボードを叩く。 画面には『送信完了』の文字。 「とりあえず『博士』の元に…これで一安心ね。」 「よし、逃げよう!」 そう言って、彼方が湊の手を取ったその時。 ドン! 「きゃぁっ!」 「湊っ!」 湊の目の前にあった画面が突然爆発し、破片が湊を襲った。 「大丈夫か?」 「…っ…平気…早く、逃げなきゃ…!」 破片は湊の顔を襲っていた。顔を抑える湊の肩を抱き、彼方は出口へ向かう。 だが…
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