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『警告。警告。シンクロ率低下。臨界点を越えました。研究員は至急退避。研究員は至急退避。』
けたたましいサイレンが研究所内に鳴り響く。
所内の至る所にある、赤い光が回転している。
「湊(ミナト)ッ!何してるっ!早く逃げるんだ!」
「嫌よ!このデータは無駄に出来ない!彼方(カナタ)は逃げて!私はデータを回収したらすぐ逃げるから…」
湊は彼方の制止を振り切り、目の前の画面に食らいつく。
そんな湊を見遣り、一瞬迷った彼方は、隣の画面に食いついた。
「彼方!?」
「手伝う。さっさと回収して二人で逃げよう。そして二人で迎えに行くんだ。大河が待ってる。」
「…!…そうね!」
二人は微笑み、目の前の作業に没頭した。
だがその間にも、警告音が鳴り響く。
『強制解除エラー。強制解除エラー。アクセスに制限がかかっています。』
「駄目だ…非常事態でデータ保存がきかない…」
「…だったら、外に送るしかないわね。」
湊がタタンとキーボードを叩く。
画面には『送信完了』の文字。
「とりあえず『博士』の元に…これで一安心ね。」
「よし、逃げよう!」
そう言って、彼方が湊の手を取ったその時。
ドン!
「きゃぁっ!」
「湊っ!」
湊の目の前にあった画面が突然爆発し、破片が湊を襲った。
「大丈夫か?」
「…っ…平気…早く、逃げなきゃ…!」
破片は湊の顔を襲っていた。顔を抑える湊の肩を抱き、彼方は出口へ向かう。
だが…
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