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「今日は星が綺麗だね」
――うわーと思った。
クサイクサイ。
我ながら気持ち悪い。
それを黙って空を見ながら流す君も、結構キツいな。
でも言えた……!
今、僕の心臓がどれだけ暴れているか、君は知りもしないだろうな。
――様子がおかしいのを知ったのはついさっき。
君は僕に見向きもせず、空を見ていた。
見向きもせず……
おかしい。
いくら何でもここまで無視されると……
というより、そこまで星が綺麗なものなのか?
まあ、綺麗って言ったのは僕自身でもあるのだが。
そう思い、空を見上げた。
改めて見た星空は綺麗だった。
どれも宝石のように輝き、それが僕の把握できうる画面全体に広がっているのだ。
釘付けになるのも無理はないか。
……それにしても、なんか星が大きくないか?
というより、どんどん大きく……
――僕は流れ星を見た。
綺麗な流れ星。
当然お願いをした。
叶うといいなと思った。
でも、数が多かった。
獅子座流星群はまだ降らないはずだった。
なのに、見ている間にどんどん増えていった。
こんなにも流れ星。
あり得なかった……
――星の降る夜。
――それは記念すべき日。
――なぜかって?
――君と一緒だったからさ。
――永遠の夏休み。
――願いが叶ったって事かな。
目の前に迫る星をよそに、僕は君だけを見ていた。
「今日は星が綺麗だね」
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