セクション9

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 2つの組に分けられた9人は、それぞれリフトに分乗させられる。  リフトの中は、可動式の仕切りで2部屋に分かれている。移送者たちは、仕切りの奥へと誘導され、座席に着いた。そして、安全ベルトを装着され、さらに施錠される。  そして仕切りが閉じられる。この仕切りは手動式になっていた。  連行の刑務官も着席してベルトを装着、何やら通信を二言三言交わすと、ほどなくしてリフトは静かに動き出した。  タクマ・モリの乗っている組は5人、連行の刑務官は3人いた。そのうちの一人は、モニターをじっと見つめている。これは外や、地上ベース、リフトの速度などの様子がわかるようになっている。  リフトが地上を離れてどのくらいになるだろうか。刑務官たちにも緊張の色が見える。  それからしばらくして、リフトは大きく揺れだす。大気圏内であるから、どうしても影響は受ける。そして、スカイフックにもある程度の弾性が必要となると、高度によって大きく揺れるのは避けられない。  実は、この揺れでパニックを起こす受刑者がときどきいる。その時は、宇宙への移送は中止、原因を起こした者は、地上のどこかの刑務所へと移送されるのであった。  幸い5人の中にはパニックを起こす者もなく、しばらくして揺れも小さくなってきた。もうスペースコロニーが近づいてきたのだろう。
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