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シオンが笑顔を見せたのはいつ以来だったか。考えなければ思い出せないほど、遠い記憶だったような気がした。
午後の教育は、配役報告の練習だった。
この女子刑務所も、かなりの受刑者が服役し、刑務所としての体裁も大分整ってきてはいるが、工場として稼働しているのは、炊場、洗濯工場、衛生工場、営繕工場、単独室衛生係、新入教育衛生係くらいである。
12ある一般工場は、まだ工場として整備されている途中であった。
始めの方で移送されてきた受刑者たちが、工場を作っていくという形になっているのだ。
3人は、まだ配役される工場を告げられてはいない。だから、思い思いの工場名を言って、練習している。
「報告します!第3工場、192番、トシカ・ハラザキ、本日より工場出役お願いします!」
帽子を取り、45度に礼をして、先のような文言を大声で言い、また45度に礼をする。
シモカワ刑務官は、3人が何度も何度も同じ動作を繰り返すのに、根気よくつきあった。
礼をすれば敬礼を返し、報告に間違いがなければ、「よし!」と返す。
最後に、再びグラウンドへ出て、基本動作と、体操のおさらいをして、2週間にわたる新入教育は終わった。
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