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展望台の階段を上がる。
一階、二階、三階。
目前にあのパノラマが広がって来る。
「綺麗…」とリエ。
「ああ…」と宮島。
そして無言になる。
しばらく黙して景観を眺め、リエが沈黙を破って言った。
「私ね…」
「ん?」
「お父さんと出会う前にね…」
「うん…」
「お母さんとケンカしたの…」
「・・・・」
「進路のこととか…意見が合わなくて…」
「わかるよ、俺もそうだったな…リエと同じくらいの頃は…」
「そうなんだ…」
自分の可能性を無条件に信じることの出来た若かった日々。
今リエはそうであろうし、かつては自分もそうであったことを宮島は思い起こす。
その可能性の前に立ちはだかる現実と向き合うことを大人は説き、若者は自らの可能性と希望を大人に訴える。
そしてたいていの場合、それは噛み合うことは無い。
いつかは大人の言ったことが事実であったとわかる時が来るとしても、未来は自分の為にあると信じて疑うことのない、それが若さの条件であり、反発のエネルギーなのだ。
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