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リエは続ける。
「お母さんと衝突したときにね…」
「うん…」
「自分の何もかもが否定されたって気がしてね…もうどうでもいいやって…」
「…だから家に帰らなかったのか?」
「ううん、静岡に行ったら帰るつもりだった…」
「それじゃあ俺…悪いことしちゃったかなぁ…」
「ううん!違うよ!私、お父さんや純に出会えて本当に良かった!」
「そうか…」
「私…わかったの…」
「何を?」
「…親って…どんな形でも子供を愛しているんだって…」
「…そうだな…」
「私、銀山で泣いたでしょ?」
「あぁ…」
「あの時思ってたの…馬鹿なことしたって…」
「どうして?」
「私、家を出るときにまたケンカしちゃって…」
「お母さんとか?」
「うん…私その時『お母さんなんか死んじゃえ!』って……」
「…売り言葉にってやつか…」
「うん、でもね、お風呂の中で思い出したの、お母さんの顔…とても悲しそうだった…」
「それで泣いたのか…」
「うん…私、本当に馬鹿な子…」
リエが涙声で言う。
「そうだな…馬鹿だ…可愛くて…どうしようもない馬鹿だ…」
リエは宮島の肩に額をあてて嗚咽し、宮島はそんなリエをそっと抱きしめてやった。
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