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恐かった。
家の電話の呼び出しのベルが鳴り続けるかも知れないことが。
「リエ…お、俺は…」
「意気地無し!」
リエの手が宮島の頬を打った。
「お父さんは、お父さんは私と純に強く生きることを教えてくれたわ!今度はお父さんの番よ!」
リエが涙を流して訴える。
「お、俺は…俺は…」
「電話して!」
リエの言うとおりであった。
強く生きること、それを教えねばならないと思ったのは自分であった。
「…わかった…わかったよリエ…」
宮島は意を決して携帯を受け取った。
手はまだ震えていたが、宮島はもう迷わなかった。
自分は強い父親であらねばならないと思った。
電源を入れ、そしてダイヤルボタンを押す、懐かしい我が家の番号であった。
ピポパポと軽快な音がして呼び出しが始まる。
一回、二回、三回、四回。
宮島にはその呼び出し音が永遠に鳴り続けるのではないかと思われ、額に粘い汗が吹き出すのを感じた。
と、耳につけた携帯の中で、カチャッと受話器の上がる音がした。
宮島の心臓が跳ね上がり、早鐘のように踊り始めた。
宮島は軽い目眩を覚え、一瞬フラっと倒れそうになった。
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