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佐々木もリエも、純が宮島夫婦の子供になったことを心から喜び、佐々木はいつか一緒に飲もうと約束したことを、京子とリエと純を交えて果たすことが出来た。
純は宮島夫妻に引き取られて後、養護学校ではなく正規の小学校に通学を許可され、生まれて初めて同年代の子供達と机を並べて学校生活を始めた。
身体の障害は別として、会話のコミニュケーションはあの電子辞書が大活躍した。
リエはその後受験勉強に入り、合格してからは先の慌ただしさで上京まで一度も純に会う機会はなく、上京時も引越し荷物と一緒に引越し先のアパートまで直接やって来たため、未だその後の純には会っていなかったのだ。
宮島は純のことをリエに尋ねられ、腕時計を見ながら言った。
「もう昼だな、そろそろ来てもいい頃なんだが…」
そのとき表で車の止まる音がした。
『あなたぁ!リエちゃん!お昼持って来たわよぉ!』
外で誰かが呼ぶ声が聞こえた。
「お?来たかな?」
宮島が言うとリエはサッと立ち上がり、窓まで駆けて行くと大きく手を振って応えた。
「お母さん!あ!純!一緒に来てくれたのぉ!やっほー!」
窓の外には京子と、それにビッタリ寄り添って笑っている純が、リエの窓にむかって大きく手を振って応えた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆《かりそめの家族・後日談 完結》
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