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  下駄箱で靴を換えているとき、塩田君が口を開いた。 「陣野にしたら残念だろうけど、岡野と九十九は三組だったぞ」 「なっちゃんと美琴ちゃんも同じクラスだったんだ……というか、よく見られたね」 「たまたまだよ、たまたま」 あくまで自分のクラスを確認するついでに見ただけらしい。 にしても、三組と七組じゃまたフロアが違うよ…… 「確かにちょっと残念だね。みんな同じクラスだったらいいのに」 「それは難しいだろ……」 ちょっとだけ呆れたような顔をされた。 そりゃ難しいってことは分かってるけどさ。 希望を言うだけならタダなんだってば。 「おはよーっ! 私達また同じクラスだよー!」 後ろからいきなり明るい声が飛んできた。というか誰かにしがみつかれた。 「武市さんっ……!? 本当? やったー! 今年もよろしくね!」 小柄な体躯に短いポニーテール、オカルト研究部の武市さんだ。 私達がきゃいきゃいと騒いでいるせいか、塩田君が若干逃げていた。 「えっと……」 それに気付いた武市さんが塩田君をおずおずと見上げる。 彼女はなっちゃんと同じくらい小柄だから、塩田君とは目線が全然違うのだ。 そうでなくても彼は背が高いし、私からしたって見上げる必要がある相手だ。 「町内掃除のときにちょっと陣野さんと喋ってた人ですよね……?」 そう言われても塩田君はわかってないようだった。 そりゃそうだ、武市さんが一方的に知ってるだけなんだし。 ここは私が間に立とう。 「この人は塩田君。んで、こっちは私が去年同じクラスだった武市さん。今年七組なんだって」 あえて武市さんの所属部は伏せておいた。 「へえ」 相変わらず淡泊な返事。 塩田君はもう少しはっきりリアクションすべきだと思う。 普段ジン先輩とか真崎先輩とかオーバーな人を相手してるせいか、塩田君はちょっと物足りない。  
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