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男は双眼鏡を首に提げ、ポケットから代わりのものを取り出した。
それはカリブ海に浮かぶ、偉大なる同志カストロが治める社会主義国家キューバ産の葉巻であった。
男はそれを口にくわえ、ライターで火をつけた。
まぁ、ヤツのおかげで俺たちはこの世界いるんだからな……
男は思い出していた。
今から1年前、同志ザカエフがSAS隊員によって射殺された日……
我々超国家主義派は大混乱に陥っていた。
何しろ、指導者が突然死んだのだ。
落ち着けと言われても、聞く耳を持つはずがなかった。
そんな中、あの変態野郎が現れた。
次元転送装置とやらを使い、こちらの世界にやってきたのだ。
そのとき、たまたま近くにいた、ロシア政府軍に追い詰められ、壊滅寸前だった俺達を次元転送装置によってこっちの世界へ連れて来て貰ったってワケだ。
おかげで、助かったと同時にパラレルワールドというものの存在、ここがミッドチルダという、魔法が発展した世界だと知ることができた。
最初の数日はのんびりと過ごしていたが、ある考えが突然浮かんだ。
この世界を盗れないか?と。
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