プロローグ

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なぜドラマごときでそこまで感動できるのか、僕には理解しかねた。 皆酷く滑稽に見えて心の中で嘲笑するが、その心には仲間に入れない悲しみも孕んでいた。 妬みだったのだ。 自分だけ、価値観が違う。 自分だけ、感動できない。 自らを狂人だと思う理由が有るのだとしたら、きっとこんな疎外感から来るのだろう。 今日みたいな真夏のくせに、どんよりとした曇り空の日なんかは、特にそう感じられた。 遅れて僕も、その物語の素晴らしさを知る。 しかし、遅かった。 クラスはもう別の話題で盛り上がり、ドラマの話題を振り掛けるも『何を今更』といった顔をされてしまう。 何時もだ。 何時も出遅れる。 周囲と違う異質な何か。 ――一般人と違う価値観 故に今、僕は一人でいる。
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