序章 転生の月 Act1

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今、まさに動かさんとする時針。 そして、固唾を飲んでその振動を待つ、汗だくの生徒たち。 殆どの生徒たちの視線は、時計の針に釘付けとなっていた。 もはや、熱心に授業する教師などお構い無しのようだ。 それもそのはず、一日も最後の授業となり、部屋の温度計は軽く35℃を上回っていたのだ。 もはや、暑いなんてもんじゃない。 モワッとした熱気が教室内を漂う。 季節は真夏。 七月のムシムシした天気の日だ。 窓は全て閉められているのにも関わらず、蝉達の大合唱がうるさいぐらい良く聞こえていた。 こんな猛暑の中で冷房もつけず窓を閉めきるなんて、自殺行為以外の何物でもないように思われた。 無論、この教室にクーラーが無いわけではなかった。 何故使用しないのかと言うと……原因は私の目の前に居る、自称『熱血教師』こと理科教師の柴田にあった。
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