第十一章 最終戦争

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「…イビル!?」 ちまみれで、ぴくりとも動かないイビルを目の当たりにし、俺はイビルの名を叫ぶよりも早く、体をイビルの元へと駆け出させていた。 「…ッ!!…一人で勝手に行くから!」 そうレイが顔を少し歪ませながら言い、他の全員も、俺の後に続いてイビルの元へと駆け寄った。 「…茂!危ない!」 俺がイビルの元へと駆け寄ってる途中、後ろから俺の後を追っているゼクセルが、俺に向かってそう叫ぶ。 だが俺の体は、ゼクセルの叫び声が聞こえるより早く既に動いていた。 「未来予知なんかが無くたって…、わかってんだよ!!」 俺は走っている途中で前方へと飛び込み、飛んでいる最中に仰向けとなって上空を見上げる。 そしてその上空には、予想通り岡崎聡が漆黒のフードマントを被りながら宙に飛んでおり、俺に向かって黄色をした閃光のようなレーザーを放ってきていた。 既に攻撃が来るのを予想していた俺は、結界展開魔道具を使い、それを防ぐ。 防いだ後、俺は空中で一回転し、地面へと着地した。 「ほぅ…、まさか今の奇襲を回避するとはな」 「俺はお前だ、もし俺なら今の場所でイビルを餌に攻撃する、となればお前もその行動を取る、簡単な話だ」 「っふ…」 そう言い切った後、俺とゼクセルとルクとザックスは、イビルの元へと駆け寄った。 「シゲル、今は私達に任せてイビルを!」 「わかった!」 レイはそう言って、アシェリーとリリスとで岡崎聡が俺に関与しないよう見張る。 「大丈夫か…イビル!?」 だがイビルに返事は無く、呼吸すらしていなかった。 完全に…死んでいる? 「俺が気を送ってみる、茂はイビルに声をかけ続けてくれ」 「…!頼む!」 ゼクセルはそう言った後イビルに向かって手をかざし、気を送り始める。 酷いありさまだった、全身がほぼ血まみれ、頭部はぼこぼこに腫れあがり、右腕は変な角度で曲がり、胸の中心部あたりの肉がえぐられていた。 これを全て岡崎聡が…? イビルでも全く歯が立たなかったというのか?
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