第三章 遡る思い

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「えっと…ゼクセルって言うのか?そのパートナーの名前?」 「え、うん…そうだよ」 「故郷を救ったとか、化け物扱いされたとかよくわからないんだけど…、説明してもらっていい?」 「うん、ゼクセルは――――」 この世界は元々魔王と言われるファンタジーゲームには絶対欠かせないラスボス的存在がいたらしく、それを倒し、世界を救った英雄がゼクセルという人らしい。 ありえない強さで、たった一人で各地のモンスターを倒して回ったらしく、その最中でレイはパートナーとして同行するようになったらしい。 パートナーになったはいいが彼の強さの前では役にもたたなかったらしく、ほとんどサポートばかりしていたそうだ。 彼は世界のために戦い、そして世界のために魔王を倒したのだそうだが、どこぞの馬鹿(アシェリー談)が魔王を倒したゼクセルという人物は魔王以上の力を持つ危険人物だ!とかほざきだしたそうだ。 そのせいでゼクセルを新たな魔王と言いだす者が続出、王都にいる市民達を止められなくなり、ゼクセルという人物は島流しとなったそうだ。 そしてその後、魔王を倒したにも関わらず消える事のなかったモンスター達をゼクセルのせいにしだし、ゼクセルがモンスターを生み出しているという戯言までいうようになったのだという。 結果、ゼクセルを殺そうとする宗教のような団体が出現し、ゼクセルという人物は追われる身となり、異世界へと旅立ったのだと言う。 まぁ…よくある話だ、力のない者は己では戦わず力のある者に媚びる。 そして上にいる力のある者を潰した後は、その次に自分より力のある者を恐れて潰しにかかろうとする。 精神面が弱い人間だとよくある話しで、俺の元いた世界でも当たり前のように日常で起きていた事だ。 やはりどこの世界でも人間ってのは同じなんだなと感じた。 「まぁ…、いつだって自分では何もできないくせに馬鹿な事を言う人間はいるもんさ」 「でもね…、最近ゼクセルを英雄と崇める人が激増しだしたの」 「え?」 話にはまだ続きがあった。
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