第三章 遡る思い

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「あぁ…だからか」 最初レイが俺に会った時に名前を聞いても驚かないんだねと言ってきた理由がわかった。 魔王を倒した英雄と共にいたパートナー…、つまりレイも英雄の一人という事になる。 俺は一人で納得して顔を頷かせながら歩いた――― 「着いたよ」 歩く事一時間とちょっと、レイの言葉を聞いて周囲を見渡すと神殿のような大きな建造物が森に囲まれるようにそびえたっていた。 もうゲームで言うならあきらかにモンスターが出現するダンジョンですよって感じだ。 「村の人の話しだと、この守護の森の神殿にモンスターが住み着いてると言っていたわ」 「あぁ、やはり神殿でしたか」 「シゲルは戦えないだろうから、できるだけ私達から離れないようにしてね」 「よろしくお願いします」 俺はそう言ってレイに深く頭を下げた。 しかし一つ気になった事がある、それは神殿にモンスターが住み着いているという情報を村人が言ったという事に関してだ。 まぁゲームとか漫画だったらそれが普通で、一つのイベントとして軽く無視するだろう。 だがこれは現実だ…、普通に考えてみよう。 まずこの守護の森にはモンスターが出現する、つまりこの森に入るというだけでも中々危険だ。 さらに言えば、モンスターの住処を暴くという事は、そのモンスターを守護の森を通って尾行しなければならなくなる。 つまりかなり危険だ。 まぁ他にも色々と判明方法がある事にはあるが、俺は何か少し変だと感じた。 「どうしたのシゲル?」 「ん、あ、ちょっと考え事してただけ」 レイが少し心配そうな表情で俺の事を見つめてくる。 惚れてまうやろぉぉぉぉー!! 「…行こう、レイ」 と俺の事など最初からいないかのように発言したのはアシェリー。 アシェリーは俺達の返事を待たずにすたすたと神殿の中へと入って行った。 「うぅ…いくらオタクだからってそんな扱いしなくても」 「オタク…って、何?」 そんな会話をしながら俺とレイも後に続いて神殿の中へと歩を進めた。
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