第二章 Φ-ファイ

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「い…今の内だ!」 虎ゴリラから逃れた俺はすかさず猛ダッシュで距離を取り、出口付近にある柱に隠れた。 「よかった…間に合ったみたいね」 ここからだと少し遠くて見えないが、一人の女性が俺が今いる反対側の位置に立っていた。 実はこのショッピングセンターには入り口と出口が二つあり、南出口と北出口とがある。 ホームファッション店は南出口に近いため、俺は南出口から出ようとしていた訳だ。 そしてその南出口とは逆の北出口の方から、救助隊らしき人物が姿を現した。 危ない所だった、もう少し助けるのが遅ければ、虎ゴリラの臭そうな口の中でぐちゃぐちゃされていただろう。 九死に一生を得たとはまさにこの事。 「ふごぉぉぉ…ふごぉ!」 そして少しもがき苦しんだ後、虎ゴリラは顔に燃え盛っていた炎を完全に消しさった。 毛皮は燃えてしまったようだが、皮膚の方に火傷の痕はない…なんて分厚い皮膚なのだろう。 「ふごぉぉぉぉ!!」 そしてさらに悪い事に、先程の攻撃で虎ゴリラは完全に怒ってしまったようだ、大きな雄叫びをあげてそれを主張しているのがよくわかる。 だがそのおかげで虎ゴリラの注意が女性の方に向いてくれたようだ。 「だ…大丈夫かな?」 勢いで逃げてきてしまったがいささか不安である、何故なら女性は俺と同じくらいのまだ幼さの残る女性だからだ。 髪の毛は茶色…というよりかは甘栗色で髪型はセミロング、見た目はもう漫画やアニメに出てきそうなくらい美少女だった。 そしてそんな美少女に助けてもらい、速攻で逃げる俺。 自分自身があまりにもかっこわるすぎて泣きたくなってしまう。 「やべぇ…あの子死んだんじゃないかな?」 だが女性は臆する事なく虎ゴリラに相対している。 「ふごぉぉぉぉ!!」 先に行動を起こしたのは虎ゴリラの方だった。 虎ゴリラは手に持っているリンゴを口の中に放り込むと、猛ダッシュで女性の方向へと走る。 その虎ゴリラのあまりにも激しい動きに女性は少しだがたじろいだ。 …無理もない。 だが虎ゴリラは何故か途中で急ブレーキをして立ち止まる。 「べぇばぶ!!べっべっべ!!」 立ち止まった虎ゴリラは、口の中から何か変な物体を吐きだす。 俺は吐き出した物体がなんなのか速攻で理解する事が出来た。 それはリンゴ。 「やはり腐ってましたか…」 哀れだな…、虎ゴリラ。
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