第二章 Φ-ファイ

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「しかし…危ない所だったな」 俺はショッピングセンターから出た後、今度は無駄に広くて化け物と遭遇しやすい場所ではなく、狭くて確実に安全な場所であるネットカフェに入りこんでいた。 目的はさっきのように、この世界に来たばかりというのに速攻で死ぬ事になる事態の回避。 それと情報収集のためでもあった。 「この世界にもネットカフェがあったとは…」 とりあえず俺はネットカフェの一室に入り込み、部屋の中にあるパソコンをたちあげた。 どうしても確認したい事が一つだけあるのだ。 「えっと…、なんだこれ」 画面が俺の知らない上に触った事のない構造の画面だった。 とりあえずマウスの操作は一緒だったので日本語で書かれた説明を頼りに、インターネットブラウザを開いた。 「そういや…、この世界って異世界なのに言語や使ってる文字とか一緒だよな」 そんな事を考えてる間にインターネットブラウザが完全に起ちあがり、最初の検索サイトらしき画面が表示される。 「…嘘だろ」 半信半疑だったが俺の思っていた通りの事が目の前でおき、少しとまどってしまった。 何で驚いているかと言うと…、俺が研究室から持ってきたノートパソコンの事でだ。 このノートパソコンはネットが繋がっていない環境でもネットの画面を開く事ができる、まずこの時点でもかなりおかしい。 さらにこのノートパソコンが開いた接続先は俺の世界と同じネット環境なのだ、故に直記との交信もする事が出来る。 俺は最初この世界のネット環境が俺の世界のネット環境と同一のものだと思っていた。 だがそれはよくよく考えるとおかしい。 もしそうならば違う世界同士で起こっているニュース等に、疑問を抱くユーザーが出てくるはずなのだ。 そして今までそんな事は起きてはいなかった。 「ここにきといて正解だったな」 俺が今起ちあげてネットに接続したパソコンは、俺の世界と全く異質。 俺の見た事のない検索サイト、画面、ニュース、魔法項目。 つまり俺の世界とは一切関わりがないのだ。 そしてこれを意味するのはこのノートパソコンはこの世界の物ではないという事、少なくとも俺の世界に何か関わりがあるという事だ。
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