第二章 Φ-ファイ

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そして俺がこの世界に来てから一週間が経った。 この一週間、最初の三日間は人がいなかったから楽だったが、その後は酷くすごし難い日々であった。 食糧はまだ数日分くらいは大丈夫そうだったが、問題は身だしなみにあった。 俺は酷く寝ぞうが悪く、それ故に朝起きると野宿のため全身が土だらけ、寝ぐせが最悪なんて事もあった。 しかも野宿なので風呂に入る事も出来ないし整える事も出来ない。 犬のウンコを踏んでしまうなんて事もあった。 そして今俺はどこぞのホームレスと間違われても仕方ない格好となり果てているのである。 「風呂…風呂に入りたい」 そんな格好の俺が堂々と街を歩く事が出来るはずもなく、こそこそと人目のつかない場所を動く事しか出来なかった。 「ショッピングセンターで寝巻も持ってくるんだったな…」 無論、移動する上で人目のつかない場所だけを通るなんて事が出来る訳がなく、たまに人気の多い場所を通らないといけないなんて事もあった。 そんな時の事だ、 『ママー、あのおじちゃん見てぇー、凄い格好してるよー』 『っし!見てはいけません!』 って言われたのが素晴らしくショックだった。 おじちゃんって…、まだ高校生の俺をおじちゃんって…。 しかもだ、俺は犬のウンコを踏んでしまった訳だ。 それ以外にも色々と汚い目にあってしまったせいか…その…ふふふ…。 臭いんですよ。 体がね…多分。 「もうヤダ、死にたい」 生命的には別に何の異常もないが、精神的な面で非常に危険な場所へと行きつつあった。 「ちゃんと帰ってくるわよね?」 そして今となっては日課となった街の散策をいつものようにゾンビがごとく徘徊していると、聞き覚えのある声がふいに耳へと入ってきた。
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