第二章 Φ-ファイ

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「う…うんこ色ですやん…!?」 「スピスピ」 ちょっとボケてみたが反応は変わらない、というか何故俺の元に現れたのだろうか? なるほど、俺のフローラルジャスミンの香りに誘われて登場したという事か…、うん納得。 だからそんなウサギみたいな体毛してるのね、見た目ドラゴンっぽいのに。 「てかこいつ…結構かわいい」 「スピ?」 なんか見ているとガシッと掴んで頬をすりすりしたくなるようなかわいさがある。 こいつは何なのだろうか? この世界のファンタジー的な動物なのだろうか? それともあの虎ゴリラと同じ化け物のお仲間さん? 「行ってらっしゃい」 「…行ってくる」 「リリスも行ってらっしゃい」 「うん…!」 おっと…こんな突然現れた意味不明な生命体を相手している場合じゃない。 どうやら別れが済んだらしく、いよいよ二人は旅立つようだ。 ここからじゃよく見えないが…、二人は仲間達に背を向けて急に走り出した。 「…!?」 急に二人が走り出したと思ったら…消えた。 「いや…消えたんじゃない、あれは!?」 二人が突然いなくなって、二人の背後にあったよくわからない物体が見えるようになった。 その物体は…、俺が研究所から出るために通った異次元空間そのものだった。 「俺がここにくる原因となった異次元空間!?」 馬鹿な…という事は俺をここに呼んだのはあの二人だったのか? いや…別にそういう訳ではないか。 だが異次元空間について何かを知っているのは間違いない。 そして俺が元の世界に帰るにはあそこを通る以外絶対にないだろう。 今日このタイミングでここに来れたのはラッキーだった。 「あそこを通れば帰れるかもしれない…」 いや…でも帰れると決まった訳じゃないし、どうせならあそこにいる人達にこの異次元空間について聞いてからでも遅くはないような…。
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