第二章 Φ-ファイ

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「スピピ…」 「を、起きたか」 なんだかんだで結局道連れにしたドラゴン?は異次元空間に入って暫らくすると噛んでいた俺の手を離し、無重力が気持ちいいのか眠りだした。 一応勝手に連れてきた手前放置する訳にもいかず、俺のリュックサックの中にとりあえず食糧をどけてスペースを作り、放り込んでおいた。 そうしないと無重力故に、ちょっとでも距離が出来て手が届かなくなると、もう二度と触れる事が出来なくなるからだ。 「で、お前…何?」 「スピ」 リュックサックから這うようにもぞもぞと俺の右腕に移動してきた。 これが噂の…手乗りドラゴンとかいう奴か、ちょっと感動。 「え?ていうかお前ドラゴン?」 「スピ」 ドラゴンと言うよりかはウサギに近い気がする、目とか体毛とかはもうまんまウサギ。 だけど何故かドラゴンっぽい尻尾が生えてるし、全体的な形はドラゴンに近い。 「スピ以外に何か喋れないのかお前は」 「ピス」 「帰れ」 を…でも今の反応を見ると、人語を理解してるようにも見える。 「ちょっとお前右腕痛いから左腕に移動してくれ」 「スピピッ」 そう言うとドラゴン?は左腕にもぞもぞと移動してくれた。 やばいぞ…こいつ頭いい。 そういえばドラゴンは人間よりも頭いいって何かのゲームで言っていた気がする。 まぁこの天才茂様には到底及ばない鼻糞みたいな頭脳だが、ないよりかはマシだろう。 「で…お前何?」 「スピ」 「お前の鳴き声訳わからん」 まぁ成り行きとはいえ連れてきてしまった以上、それなりに面倒は見てやらないといけない。 幸い言う事はちゃんと聞いてくれるので世話にはあまり困らなさそうだ。 まぁ逃げたら逃げたで放置するつもりだが。 「よしじゃあ名前を決めるか…、ウサゴンとかどう?」 だっせー…。 自分で言ってなんだがネーミングセンスの欠片も感じ取れない。 ウサギとドラゴンを混ぜたのが失敗だった。 「あーもうめんどくさい、もうお前の名前ドMでいいよドМで、はい決まり、お前は今日からドMだ」 俺がそういうとドMは俺の手をかじってきた。 痛い、今度は甘噛みではなくマジ噛み、ドMではなくドSの方がよかっただろうか? 「わかった!変えるから噛むな!」 しかし名前って決めるの以外とめんどくさいなぁ、自分の将来生まれてくるだろう娘につける名前の候補だったらいくらでもあるのだけど。
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