第二章 Φ-ファイ

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「ドラゴンにつけるいい名前かー」 ないなぁ。 「スピスピ」 「うん、もうスピスピ鳴くからスッピーでいいや、という訳で君の名前はスッピーに決定」 「スピ」 を…、噛みついてこない。 つまりこの名前で別に構わないという事なのだろう。 別に特別かっこいい訳でもないが、ダサくもない名前なのでこちらとしても呼びやすい。 「さてスッピー、暇なんだが俺はどうすればいいだろうか?」 最初は滅多に体験出来ない事なので結構はしゃいでいたが、この無重力空間も長時間滞在しているといい加減あきあきしてくる。 「スピピ」 「あそこに見える光まで後何時間くらい経過したら辿り着くのだろう?」 「スピピ!」 俺がそう言うと、スッピーは突然俺にまかせろと言わんばかりに翼を広げ出した。 「うぉ、何だ何だ?」 スッピーは俺の腕に何故か噛みつくと、翼を上下に動かして空気を切りだした。 「お…おお…、おおおおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!」 スッピーの飛ぶ力が加わり、さっきより進むスピードが徐々に増してきている。 一応この異次元空間には空気があるので、翼を使って移動する事も可能のようだ。 「すっげ、一気に進んでる!」 ただし噛みつかれている腕が鬼のように痛い。 「やべぇ速い速い!」 「スピピー!!」 「速い速い速いって…速すぎ!」 無重力なのでスピードはどんどんと加算され、さっきの十倍はあるんじゃないだろうかというくらい速くなった。 それから十分後、飛ぶのに疲れたスッピーは再びリュックサックの中に入り、顔だけをリュックサックから出して休憩していた。 だがスッピーのおかげであの後もさらにスピードが増し、一気に異次元空間を進む事が出来た。 「あんだけ遠かったのにもうかなり近くに見えるな」 まだスピードは全然落ちていないので、この分だと後もう五分くらいで目標の光の中に突入できるんじゃないかって所くらい近くまで来ていた。
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