第二章 Φ-ファイ

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「よし突入だ!今度こそ俺のいた世界であってくれよ!!」 あれからさらに数分後、もう目と鼻の先に、俺が前いた世界への入り口と同じような光の出口があった。 俺はこんだけ酷い目にあったんだから、もう帰れるだろうという期待感を膨らませ、光の中へと飛びこんだ。 「やれやれ、またこのパターンですか」 俺が光の中へと入って出た先は…再び遥か上空の空中だった。 前回はうまくスライムがいたから助かったのだが…、今度こそ死んだかもしれない。 「本当…このパターンが好きなのねぇぇぇぇぇ!?」 問答無用で俺の体が落下していく。 「スピピ!」 だがリュックサックの中にいたスッピーは体を外に出し、俺の服に噛みついて翼を広げだした。 「そうか…それで飛ぶんだな!?」 「スピ!!」 「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」 とか叫んでしまったが、スッピーの小さな体では俺の大きな体を持って飛ぶ事が出来る訳もなく、そのまま落下していった。 「まぁそうだよね」 「スピピ!!」 スッピーはそれでも一生懸命に飛ぼうと翼をばさばさと動かしている。 「もぅ駄目なんだ俺達…、スッピーもういいよ」 俺がそう言うとスッピーは翼を動かすのをやめた。 「スピピ…」 「もう諦めて…一緒に死のう」 俺は手を重ねて天に祈りを捧げた、先立つ不孝をお許しください…と。 「スピ」 とか祈ってたらスッピーは俺に噛みつくのをやめ、再び翼を上下に動かし一匹だけで空中に滞在しだした。 「なんですと!?」 気持ちよさそうに空を飛ぶスッピー、驚愕の表情を浮かべながら落下していく俺。 「う…裏切り者ぉぉぉぉぉ!!」 その瞬間だった、俺の脳内に直記の顔が浮かび上がったのだ。 死を直前にしているからだろうか? そして脳内の直記は俺に向かってこう言った。 『ぼっち乙』 「やかましいわ」 そしてスッピーに見捨てられた俺はさらに加速度を増して落下した。 「ぬぉぉぉぉぉぉっぉぉおおおっぉぉぉ!!」 とりあえず叫んだが何も変わらない。
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