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「よし突入だ!今度こそ俺のいた世界であってくれよ!!」
あれからさらに数分後、もう目と鼻の先に、俺が前いた世界への入り口と同じような光の出口があった。
俺はこんだけ酷い目にあったんだから、もう帰れるだろうという期待感を膨らませ、光の中へと飛びこんだ。
「やれやれ、またこのパターンですか」
俺が光の中へと入って出た先は…再び遥か上空の空中だった。
前回はうまくスライムがいたから助かったのだが…、今度こそ死んだかもしれない。
「本当…このパターンが好きなのねぇぇぇぇぇ!?」
問答無用で俺の体が落下していく。
「スピピ!」
だがリュックサックの中にいたスッピーは体を外に出し、俺の服に噛みついて翼を広げだした。
「そうか…それで飛ぶんだな!?」
「スピ!!」
「いっけぇぇぇぇぇぇ!!」
とか叫んでしまったが、スッピーの小さな体では俺の大きな体を持って飛ぶ事が出来る訳もなく、そのまま落下していった。
「まぁそうだよね」
「スピピ!!」
スッピーはそれでも一生懸命に飛ぼうと翼をばさばさと動かしている。
「もぅ駄目なんだ俺達…、スッピーもういいよ」
俺がそう言うとスッピーは翼を動かすのをやめた。
「スピピ…」
「もう諦めて…一緒に死のう」
俺は手を重ねて天に祈りを捧げた、先立つ不孝をお許しください…と。
「スピ」
とか祈ってたらスッピーは俺に噛みつくのをやめ、再び翼を上下に動かし一匹だけで空中に滞在しだした。
「なんですと!?」
気持ちよさそうに空を飛ぶスッピー、驚愕の表情を浮かべながら落下していく俺。
「う…裏切り者ぉぉぉぉぉ!!」
その瞬間だった、俺の脳内に直記の顔が浮かび上がったのだ。
死を直前にしているからだろうか?
そして脳内の直記は俺に向かってこう言った。
『ぼっち乙』
「やかましいわ」
そしてスッピーに見捨てられた俺はさらに加速度を増して落下した。
「ぬぉぉぉぉぉぉっぉぉおおおっぉぉぉ!!」
とりあえず叫んだが何も変わらない。
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